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Ikegami TECH

2026.09.10

Ikegami TECH Vol.59 どの映像が放送されている? ~放送システムのタリーとは~

バックナンバーvol.50で、システムカメラのタリーについてご紹介しました。演者さんやカメラマンさんは、カメラのタリーランプによって今そのカメラが放送に使われているのか、いないのかを知ることができます。では、そもそもタリー信号というのは何者でどこからくるのでしょうか。

タリー(TALLY)信号って何者?

恐らく放送業界の方々以外は、タリーなどという言葉には馴染みがないのではないでしょうか。ひらたく言うと、放送番組の映像素材として用いられるカメラ、VTR、テロップ、外部からの回線素材などのうち、どの映像素材が最終の本線映像に使われているのかを示すための信号です。放送される可能性のある全ての映像素材に対応する沢山の接点出力や通信などによって知ることができる仕組みです。このタリー信号は、番組制作現場のあらゆるところに配られます。例えば、システムカメラを筆頭に、VTRやテロッパーのオペレータさんに知らせるためのタリーランプ。コントロール室のモニタ棚では、沢山の映像素材の中から本線に使われている素材を特定するための表示、その他さまざまな操作パネル上のランプ表示などです。運用者はタリーランプの点灯状況を確認しながら番組制作が正しく進んでいるのかをチェックする、とても重要な仕組みなのです。

タリー信号にはいくつかの種類がある?

タリー信号は、どの映像素材が最終の本線映像に使われているのかを示します。その用途にはいくつかあり、ランプ点灯の色分けによって区別しています。運用によってさまざまですが、例えば以下のような感じです。

  • 赤色タリー:番組本線に用いられていることを示すタリー 
  • 緑色タリー:収録に用いられていることを示すタリー
  • 黄色タリー:配信など、その他の用途に用いられていることを示すタリー
タリー信号はどうやって作っている?

タリー信号は、カメラやVTRなど各種映像素材の信号源から、途中の映像ルーターやスイッチャなどを経由して、最終の本線映像として出力されるまでの経路を、全て逆に遡って特定します。その中心を担うのがタリープロセス装置です。
図は、本放送に①③⑤の素材を合成して使用し、同時に①と③の素材を合成して収録しているときの状態を表したものです。

図: 信号遡りの流れ

タリープロセス装置は、映像ルーターやスイッチャなど映像制作を行う装置の入出力信号がどうつながっていて、今はどう動いているのかを全て知ることができるので、放送本線出力や収録用出力を起点として、映像信号の流れを全て逆に辿って映像素材を特定することができます。実際の番組制作システムは映像素材や装置も非常に多く、相互の接続も入り組んでいて非常に複雑です。そんな状況下でも、映像の切り替えや合成の操作に対してリアルタイムに追従して、即座にタリー信号を出力することが求められる過酷な役割を担っているのです。

タリー信号 その他の使い道

タリー信号は本線に使われている映像素材や映像機器を運用者に教えてくれる役割がありますが、放送中のカメラやVTRなどを間違えて操作してしまわないようにガードを掛けるための信号としても利用されます。また、それ以外に以下のような制御にも使われています。

1)タリースタート制御

スイッチャでVTRの映像に切り替えると同時に再生を開始する制御です。VTRは予め頭出し状態でスタンバイしておき、スイッチャの切り替えによって出力される赤色タリーの信号を使って再生制御を行います。スイッチャを切替えてから赤色タリーで再生が開始されるまで僅かな時間差があるので、そのままでは静止した頭出し状態が僅かに放送されてしまいます。そこで、スイッチャには状態の変化をタリープロセス装置に通知してから少し遅れて映像の切り替えを行うクロスポイントディレイ機能というものがあります。VTRが再生を開始した頃に映像が切り替わる仕組みで不体裁を防いでいます。

2)アフターチェンジ制御

テロップを自動で順送りする制御です。テロップは画面上に合成する文字などのことですが、番組中には沢山のテロップが忙しく切替わっていきます。テロップは予め使う順番に登録しておきます。テロップをOFFにするとそのテロップの赤色タリーもOFFになるので、そのタイミングで次のテロップにチェンジさせる制御を行います。そうすると、次にONにした時には新しいテロップに変わっているという仕組みで、操作の効率化を図っています。

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