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Ikegami TECH

2024.09.11

Ikegami TECH vol.35 もう一つの検査 表面検査技術について ~微小な欠陥を見抜く技術~

もう一つの検査 表面検査技術について ~微小な欠陥を見抜く技術~

近年、品質管理に対する意識の高まり、品質保証の責任の増大により検査のデジタル化・高解像度化の要望が大きくなっています。
以前にIkegamiの錠剤検査装置等に使用されている技術についてご紹介しましたが、ここではIkegamiが検査装置として取り組んでいるもう一つの「表面検査装置」について主要な技術要素等についてご紹介します。

表面検査装置は、連続して走行する検査対象物の表面を検査する装置で、これまで電解銅箔、絶縁フィルム、ハップ剤等さまざまな検査装置を手掛けてきています。
搭載しているセンサは、放送用カメラやデジカメで搭載されているエリアセンサとは異なるラインセンサになります。
表面検査装置の重要な3要素として、下記が挙げられます。
(1)柔軟性の高い欠陥検出機能
(2)高解像度検査能力
(3)高速検査能力
これらについて順番に説明します。

(1)柔軟性の高い欠陥検出能力

表面検査装置が扱う検査対象物は、フィルム、金属箔、紙、不織布、ゴム、ガラス、鋼板等その材質が多岐にわたり、検査対象物の表面に生じる欠陥も、キズ、汚れ、異物、しわ、ムラ、突起、凹み、穴等、形状も多種多様です。
これまでさまざまな検査装置で培ったノウハウによる11種類の欠陥検出アルゴリズムや当社独自のFlexible Detector(FD)を用いて、柔軟かつ高精度の欠陥検出を行っています。微弱な欠陥、不明瞭な欠陥、特に検出が難しいとされていた強い地合に対する微弱な薄汚れや緩やかな濃度変化にも対応できます。
FDは原画像に対してノイズ除去フィルタおよびFDフィルタの両フィルタの適用結果の差分をとり、差分が大きい領域を欠陥と判断する等の技術を組み合わせて実現しています。

各種アルゴリズムで、強い地合の中にある微弱な薄汚れを検出した例を以下に示します。
FDで処理したものは一目瞭然で薄汚れを判別できているのがわかります。

①原画像 ②微分処理 ③多値スライス処理
④4点平均処理 ⑤累積差分処理 ⑥FD処理
(2)高解像度検査能力

一般に品質検査では目視による検査を基準としており、この検査水準を大幅に上回るような高解像度検査の要望が少なくありません。これまでは目視検査の検出限界とされている50μmを欠陥の最小サイズに設定していることが多かったのですが、検査する対象物の微細化などにより高精細な検査が必要となってきています。例えば、1画素に捉えられる限界が48μmの4Kカメラでは50μmの欠陥は検出し、30μmの欠陥は見逃してしまうかもしれません。同じ画角であれば16Kカメラでは、12μm/pixの精度を持つため、30μmの欠陥も検出が可能となります。目視検査以上の高精細さが要求される場合は、16Kカメラにも対応できる様に考慮しています。

(3)高速検査能力

製造品質の改善と共に生産効率の改善は生産ラインに要求されている永続的な課題です。このため生産ラインの高速化の要望は必然的に出てきます。しかしながら、検査の高速化と先に述べた検査の高精細化は一般的にはトレードオフの関係にあります。
最近では高速物体の認識などの用途で高速に動作するカメラが出てきています。当社が採用している最新のカメラは850MHzで動作可能で、一般的な高速カメラの160MHzに対して5倍以上の高速動作が可能です。これにより検査対象物の搬送速度の上限を大きく向上させることができます。実際に一定の条件下(解像度=10μm/pix・走査幅=160mm)で双方のカメラを比較した場合、1分あたり5.6mに対して30mの検査が可能となり、大幅に生産効率に貢献できることが分かります。

この様に、デバイスの進化により高解像度化と高速処理は将来的にも一定の改善までは続くと思われますが、今後さらに付加価値を高めるにはAIの導入は不可欠と考えます。
現在Deep Learningにより様々な欠陥カテゴリーを学習させて、さらに高度な検出が出来るよう試行錯誤を繰り返しています。冒頭で述べました様に欠陥の種類はさまざまで、単なる欠陥の検出だけではなく、それが何なのかの判別や、統計的なデータ収集など高度化につなげていきたいと考えています。
Ikegamiでは、今後ますますメーカーの品質管理が問われていく中、より高精細で信頼性の高い検査を目指して技術のチカラであくなき追及を進めていきます。

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