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Ikegami TECH

2022.04.15

Ikegami TECH Vol.6  「百聞は一見に如かず」を検証してみよう!

「百聞は一見に如かず」を検証してみよう!

皆さんは大昔にできたことわざが、現代の世の中でも通用すると感じたことはありませんか?今日は「百聞は一見に如かず」ということわざを技術者目線で検証してみたいと思います。
前回、ビット数とサンプリング周波数のお話をしました(Ikegami focus Vol.5をご参照ください)。今回はさらに「情報量」という切り口で少し深堀してみましょう。
映像・音声の情報量は、デジタル化によって定量的に表すことが出来るようになりました。
情報量は、一般的にビット数、サンプリング周波数およびチャンネル数を掛け合わせたもので、bps(bit per second = 1秒間当たりのビット数)という単位で表します。なお、メモリカード等では、Bps(Byte per second = 1秒間当たりのバイト数)と表す場合があります。1Byteは8bitとなります。大文字のBと小文字のbとで表記されるので注意が必要です。
まずは音声について、CDの規格を例に見てみましょう。
CD規格は、ビット数16ビットで、サンプリング周波数44.1KHzです。
この情報量は、16×44,100=705,600bpsとなります。さらに、ステレオ2chと考えると、この2倍の1,411,200bps(=1.4112Mbps)がCD規格の情報量と表せます。
では、映像に関してはどうでしょうか? 映像には様々な規格がありますが、ここではNTSC規格で考えてみます。
(NTSCは、2003年から2006年にかけて全国で開始されたハイビジョン以前の方式)NTSCコンポジット映像規格には、ビット数10bit、サンプリング周波数約14.3MHzのSMPTE 259M LevelAという規格があります。この規格の情報量は、10×14.3MHzで143Mbpsとなります。
この映像規格の情報量を先ほどのCD規格の情報量と比較すると、音声(1.41Mbps):映像(143Mbps)となります。
つまりほぼ1:100の関係、すなわち「100聞」は「1見」に如かずとなります。
少し、こじつけのようになってしまいました。このことわざが書かれた頃には、当然情報量という概念はありません。
ただ、1:100というのはあながち突拍子もない喩えではなかったと思います。

ちなみに、英語にも似た表現があり ‘a picture is worth a thousand words’ といいます。ここでの喩は1:1000になっていますね。
現在主流であるハイビジョンの生の情報量は1.5Gbps、すなわち1,500Mbpsです。つまり上記CD規格と比べると、ほぼ1:1000となります。これもこじつけですが、英語の喩えはハイビジョン並みだった!と言えるかもしれません。
実際には、映像は4K/8Kへと進化し、音声もビット数やサンプリング周波数が高いハイレゾ音声や、22.2chのサラウンドなどへ進化していますので、一義的な比率としては表せません。しかし、映像と音声で同等のクオリティを求める限り、映像の情報量は音声の情報量より十分大きいという事には変わりありません。
物理的な情報量としては以上のように比較できますが、音も映像も定量的に表せることだけではありません。
「映像が浮かんでくるような音楽」「音が聞こえてきそうな映像」といった感性の世界もあります。
時には8Kの動画よりも1枚の白黒写真の方が多くを語りかけてくるという事もあります。
人間の脳は素晴らしく、イマジネーションで音や絵の行間を満たしてくれます。情報が溢れる世の中になっていますが、
時には目を瞑ってイマジネーションの世界に身を置く時間があっても良いかもしれませんね。

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