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Ikegami TECH

2022.03.15

Ikegami TECH Vol.5  究極のデジタルはアナログか?

究極のデジタルはアナログか?

近年、ほとんどのオーディオ機器やビデオ機器にはデジタル技術が使われております。デジタル技術の進歩によりスマートフォンの大きさで十分高品質な画と音を撮り、聴くことが出来るようになりました。
当たり前の様に使われているデジタル技術ですが、そもそもアナログ信号をデジタル化するとはどういう事でしょうか?

これらを理解するには「ビット数」と「サンプリング周波数」という二つの言葉を理解する必要があります。
まずはビット数についてです。
ビット数は信号の振幅の大きさをどれだけ細かく分解するかの単位で、2進数がベースとなります。
1ビットというのは、0か1のみで振幅の大きさを表すものです。2ビットというのは、00,01,10,11という2進数の二桁の組合せの4通りとなり、3ビットでは同様に3桁の組合せの8通り・・・・と、“nビットは2のn乗通りの組み合わせ”で表現されます。
映像で良く使われている10ビットというのは、信号の振幅を1,024段階の細かさに分解する、ということを意味しています。

(図1)

図1を見てわかるようにビット数が増えれば増えるほど元のアナログ信号に近くなってきます。
何ビットまで増やせば元の信号と遜色ないかというのは一概には言えませんが、映像では8~12ビット(一般的な放送規格は10ビット)、オーディオではCD規格の16ビットからハイレゾ音源の24、32ビットまであります。ビット数が増えれば、より細かな振幅に対しても大きな振幅に対しても粗くならずに再現できるようになるため、機器の性能に関わるS/N(Signal/Noise)比とダイナミックレンジに影響します。
次に、サンプリング周波数について見てみましょう。
サンプリング周波数は、時間方向に刻々と変化する信号をどれだけ細かく分解するか(サンプリングするか)という単位で
「1/サンプリング間隔(時間)」 がサンプリング周波数になります。(図2)

(図2)

1Hzというのは、1秒間に1回サンプリングすることを表します。CDの規格44.1KHzを例にとると、1秒間に44,100回の
サンプリングをするということになります。
サンプリング周波数は原理的に、表現したい周波数の2倍以上である必要があります。例えば音声の場合、人間の可聴範囲が20KHz程度ですから、たいてい40KHz以上のサンプリング周波数としている機器が多いです。CD規格が44.1KHzとしているのはこのためです。
映像においては、サンプリング周波数は解像度に影響します。人間の眼の解像度は8Kに相当すると言われています。ただし、これまでの映像の規格は人間の眼の解像度から決まっているというよりは、その時代における放送方式、およびセンサーの性能に起因するところが大きいです。
NTSC時代のD1規格で13.5MHz、ハイビジョンの規格では74.25MHzとされています。
音声では連続信号をサンプリングしているのに対し、映像の場合はセンサーで一度撮像しているので、センサーの画素の間隔に合わせてサンプリングする事がほとんどです。サンプリング周波数は、方式(NTSC/ハイビジョン/4Kなど)と画素間隔によって異なってきます。

表題の『究極のデジタルはアナログか?』という問いですが、確かにビット数もサンプリング周波数も限りなく増やしていくと、元のアナログ信号に近づきます。そう考えると、『究極のデジタルはアナログ』という考え方は正しいですが、一概にアナログが優れているとは言いきれません。伝送・記録における劣化が少ないという面ではデジタルの方が優れています。性能を追求するほど情報量がどんどん増えてきましたが、それに伴って高性能な圧縮技術も生まれてきました。ビット数とサンプリングから決まる性能の面ではデジタルはアナログを超えられませんが、デジタルの持つ利便性や再現性によってあらゆるシチュエーションで映像や音楽を楽しめるようになってきていることは間違いありません。
今後デジタル技術のさらなる進化によって、どこにいてもその場にいるかのような臨場感や映像の中に入り込んでいくような没入感など様々な新しい体験ができる様になってくるでしょう。

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