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Ikegami TECH

2024.07.10

Ikegami TECH vol.33 SNMPプロトコルによる一元管理と効率的な運用 ~生放送を前提とした放送システムでの活用~

SNMPプロトコルによる一元管理と効率的な運用 ~生放送を前提とした放送システムでの活用~

SNMP (Simple Network Management Protocol) は、ネットワーク管理を簡易に行うためのプロトコルとして定義され、遠隔監視目的で使用されてきました。当初、ルータ、スイッチ、サーバなど通信機器を監視、制御することが主目的でしたが、生放送を前提とした放送システムにおいても、安全なシステム運用やトラブルシューティングの観点で取り入れられ、品質向上に繋がっています。
放送においては、システム上の多数の機器の状態や性能、構成情報などを収集・変更する手段として活用されており、システム障害が発生したときには早期に検知でき、迅速な対策、障害復旧が可能になります。また、システム設定の変更、追加、削除などの作業も、一元的に行えるため、システム管理の効率化に寄与できます。
今回のコラムでは、汎用プロトコルであるSNMPとは何か、これを放送システムで使用して運用者に提示できるソリューションとは何か、その一端をご紹介します。

SNMPプロトコルの概要

SNMPのフレームワーク構造は、管理する側のSNMPマネージャ、管理される側のSNMPエージェントの2つにより構成されています。
SNMPマネージャ ・・・ SNMPエージェントに対する情報の要求や監視などを行う
SNMPエージェント ・・・ SNMPマネージャからの要求への応答、状態変化時の通知を行う
以下にIkegamiの放送システム監視を例に構成図を示します。(図1)

図1.SNMPフレームワーク構造 (SNMPマネージャとSNMPエージェント)

監視は、通常時SNMP マネージャから SNMP エージェントへ問い合わせて情報取得するのですが、障害が発生した場合には、逆にSNMP エージェントから SNMP マネージャへ通知(Trap)します。

図2.通常時の監視の仕組み
図3.障害発生時の情報通知

SNMPは、図2,3の状態監視に止まらず、エージェントに対し、設定変更を要求することも可能なため、運用条件を変更したい場合にも使われるツールになっています。

SNMPエージェント・・・MIBによる監視情報管理

MIB (Management Information Base) とは、SNMPエージェントが持っている機器情報のデータベースです。SNMPマネージャはMIBに問い合わせることで知りたい情報を得ることができます。MIBはツリー構造で管理され、ツリーの頂上から辿って、目的の情報まで階層を指定することで、監視情報が入手できることになります。図4にMIBのツリー構造を示します。

図4.MIBツリー構造

MIBは2種類定義されており、あらゆるメーカ機器を対象にしても画一的な情報の交換が可能な「標準MIB」(業界標準規格)と、機器固有(メーカ定義)の情報を格納している「拡張MIB」に分類されています。

SNMPマネージャ・・・Ikegamiの放送システム監視

Ikegamiは、SNMPマネージャとして、人気が高いオープンソースソフトウェア(OSS)「Zabbix」を採用しています。SNMPは汎用性の高いプロトコルであることから、多くのメーカで機器に搭載しており、必要な監視情報が収集できることがシステム全体の品質一元管理を可能にしています。
Zabbix画面は、システム構成されている機器の状態がリアルタイムに監視でき、更には、過去に遡って障害状況を検証することもできます。従来、機器単体のロギング機能、ダイアグノシス機能に頼っていた障害検証でしたが、それだけでは検出できないシステム上のトラブルについて全体の情報を一元管理できるSNMP監視は効率的であり、トラブルシューティングに役立って行きます。
高まるシステム監視要求に対し、Ikegamiが提供するシステム機器は実効性のある監視を目指しており、機器内部の詳細を情報収集することに注力しています。信号系、電源、制御、同期系の他、回路網に渡って重要性の高いハードウエア監視、ソフトウエア監視を行うことによって、ユーザの運用をサポートし、保守効率を高めています。

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