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Ikegami TECH

2023.10.11

Ikegami TECH vol.24 光の線で3次元形状計測 ~小さなキズも見逃さない技術~

光の線で3次元形状計測 ~小さなキズも見逃さない技術~

生産ラインでは、生産した部品や製品の外観検査に、専用の検査装置の導入が進んでいます。
検査項目の中で表面の欠陥や傷の検出には、一般的に斜め方向から光を照射して発生する影の変化(正常な凹の影との差)を用いた方法が用いられてきました。しかし、微小な欠陥や傷は影の変化が少ないため、検査対象ごとに光の照射角度や画像処理の調整に時間がかかることや、検査対象が黒色のものは困難、等の課題がありました。

その解決手段として、昨今のコンピュータや入力デバイスの高性能化を背景に、検査対象の表面形状を高速かつ高精度に3次元形状計測して検査を行う装置の実用化が進んでいます。
ここでは、当社の錠剤検査装置等に使用されている、検査対象の表面形状を3次元形状画像として計測する、光切断法について解説します。

装置構成

光切断法の基本的な装置構成を図1に示します。

図1
図2

検査対象を搬送する搬送部、搬送部の水平面に対して垂直にスリット光を照射するスリット光源、スリット光と斜めに設置したカメラより構成されます。光切断法は、検査対象がスリット光の下を移動する際、スリット光が表面形状に沿ってゆがむこと(光切断線)を用いて、連続撮像をすることにより3次元形状を求める方式です。図中の撮像画像は理解しやすいように検査対象の画像も表示していますが、実際は赤で示す光切断線のみが撮像されています。

基本原理

光切断法による3次元形状計測は、三角測量法に基づいています。
図2に示すようにスリット光とカメラの角度をΘとすると、撮像画面上からhを求めれば、検査対象の高さHは次の式で求められます。
H = h / (sinΘ)
この高さ演算を検査対象の光切断線上で行うことで、1ライン分の3次元形状が求められます。これを移動している検査対象を連続撮像した画像ごとに求めることで、全体の3次元形状画像を生成することができます。

隠れている面の対応

図1のような一方向の撮像では、検査対象の背面や溝など、撮像から隠れてしまう面の測定はできません。そこで、図3のように隠れた面を撮像するカメラBを設置し、撮像画像Aと撮像画像Bの光切断線を合成することで、隠れた面も計測しています。
ただし、カメラが増えると撮像同期や設置位置の課題が出てきます。そこで、1台のカメラで2方向の画像を捉えるように、ミラーやプリズムを用いて画像を反射させて取り込む工夫がされています。
一例を図4*1 示します。この例では、2方向の画像をそれぞれミラーで反射し、ハーフミラーを通して1台のカメラで撮像しています。

図3
図4
*1:当社特許、第6279907号より
計測例

当社の錠剤検査装置の例を図5に示します。
左が錠剤の平面画像、右が光切断法で計測し生成した3次元形状画像になります。3次元形状画像からは、溝や欠けの細かな形状を確認することができます。さらに、3次元計測結果から、溝の深さは300μm、欠けた部分はさらに50μm深いことも定量的にわかり、高精度な検査を実現しています。

図5

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