Ikegami TECH
2026.05.11
Ikegami TECH vol.55 ヘリ空撮映像からの位置特定 ~高精度な撮影位置の測定と地図連動技術による災害対応への貢献~ Part.2

前回はヘリコプターの空撮における高精度な撮影位置の測定方法について説明しました。今回は空撮映像と地図連動技術について説明します。
地図情報合成装置では、画面の周辺や細部に至るまで撮影位置が一致していないと実際の映像と表示がずれてしまうため、より高精度の計測が必要になります。また、ヘリコプターは高速で移動するため、より緻密な間隔でのGPS測位が必要になります。これらは、昨今の自動運転車やUAV(無人航空機)等の無人機の発展により、小型軽量で精度の高い計測器が出現し、ヘリコプター機上でもリアルタイムに行うことが可能になりました。
図1
図1に示した地図情報合成装置は、MISB(Motion Imagery Standards Board)により規格化された位置情報のパラメータを使っています。MISBは元々、米国防総省がUAVの映像と撮影位置を同時に管理するために作った規格ですが、GPSやインターネットのように軍事利用に留まらず民生品でも使われ始めています。例えば、ESRI社のArcGIS やオープンソースのGIS等でも、図1のMISBメタデータの付加された地図情報合成装置の録画映像を使うことができます。
これらでは、映像とGIS(Geographic Information System:地理情報システム)を密接に組み合わせることができるため、たとえば災害時の映像から浸水エリアの早期把握、土砂災害発生現場における流出規模の推定等の簡易測量が可能になります。崩壊の高さ、幅や土砂量等を概算で把握することができ、復旧活動や救助活動、投入する重機等のリソース量や優先順位の判断等の材料にすることもできます。
従来の撮影位置表示装置ではメーカーごとにフォーマットが異なっていましたが、MISBはデファクトスタンダードになりつつあり、ArcGISやオープンソースのGIS等だけでなく、様々なアプリケーションでの互換運用が期待されています。また、多くはパソコン上のソフトウエアで実行されるため、専用の機器を必要とせず、組織の異なる部署間で利用することも可能です。
図2にArcGIS FMV(Full Motion Video)での面積計算の様子を示します。使用しているのは、図1の地図情報合成装置の録画映像です。映像上の必要部分を囲むだけで、簡単に面積が計算できます。同様にビルの高さを計測することも可能です。併せて、撮影位置の台形とヘリコプターの位置を右側の地図上に表示します。

図2 ArcGIS FMV
このように、映像から撮影位置を特定することで、映像だけでは捉えられない様々な情報を統合的に視ることができます。
池上通信機では、官公庁や放送局のヘリコプター向けに、これらの機器を販売し、災害・事件・事故の初動や報道現場におけるリアルタイムの情報伝達に貢献しています。

