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Ikegami TECH

2022.08.15

Ikegami TECH Vol.10 医療を支える映像技術

医療を支える映像技術

私たちの生活の様々な場面で使われるカメラ。普段あまり目にすることのない場面でも、カメラは使われ
ています。
そのひとつが、医療現場で使われるカメラ。医療映像に用いられるカメラに求められるのは、必ずしも放送用カメラに求められているような要素だけではありません。一瞬も逃さず映像が撮れる確実性や、長期信頼性等基本的な部分は同じです。

一方、画作りの面では少々異なる処理をする場合があります。
例えば、被写体の色やテクスチャを忠実に再現するのが良いか?というと、そうでない場合もあります。
医療の現場で使われるカメラには、見えないものを見えるようにするという役割もあるのです。
肉眼では判別しにくい病変部位をわかりやすいようにあえて色を変えたり、極端に強調したりします。自然な映像であることより、映像処理によってより分かり易く識別できるようにすることが重要となります。
見えないものを見えるようにする端的な例として、特定の試薬と近赤外光を利用した撮影方法があります。この試薬はタンパク質と結合し、励起光*1 をあてる事により、人間の目では見えない近赤外領域で蛍光を発光します。この蛍光した部分と可視の映像を重畳し血流を見やすくすることにより手術の効率が格段に上がります。医療の世界では、赤外や紫外等通常の映像ではカットされる波長領域を用いることにより、見えないものを見えるようにする技術が使われています。

特殊な映像処理だけでなく、基本性能の高さも重要です。
例えば眼科の場合、患部を見やすくするために光をあてますが、あまり強い光は患者のストレスとなってしまいます。特に網膜近辺の撮影は光が届きにくく感度がとても重要になります。また、黒目の微妙なグラデーションを表現するために、低輝度の諧調性やS/N特性も重要です。

被写界深度も重要な映像の要素となります。4K、8Kと高精細になればなるほど被写界深度は浅くなります。
外科手術など奥行きが深い場合、被写界深度が浅いと奥行き方向に見える範囲が狭まってしまいます。一般的に高精細と被写界深度はトレードオフの関係にあり、これを両立させることが課題となってきます。Vol.3*2 で紹介したように、被写界深度は絞り値の影響を受けます。被写界深度を深く取るためには絞りを小さくする必要があり、この意味でも感度が高いカメラが必要とされます。

このように医療用カメラには、高い基本性能に加え医療用に特化した機能・性能が必要となります。さらには、内視鏡や顕微鏡などへの内蔵を考慮するために、非常にコンパクトな構造が要求されます。


Ikegamiの医療用カメラは、最新の4Kカメラにおいても、手のひらに収まってしまうくらいのサイズ(W34mm x H40mm x D40mm)で、100g以下という超小型軽量を実現しています。
医療映像は、遠隔医療や遠隔診断が進化していくにつれてますます重要な役割を担っていくことになります。Ikegamiは最先端の映像技術で、今後も医療の発展に貢献してまいります。

*1 励起光(れいきこう)とは、蛍光物質を光らせるためにあてる特定の波長の光の一つ
*2 Vol.3はこちらからご参照ください。 

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