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放送

2021.03.19

超高精細映像を用いた広域映像配信実証実験 〜ウィズコロナ時代の遠隔運用・高精細映像リモートプロダクション実験に参加〜

  池上通信機株式会社は、2021年2月5日から2月8日に開催された国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)様主催の「超高精細映像を用いた広域映像配信実証実験」に参加しました。

■ 池上通信機の参加内容
  当社は2016年以来、毎年2月に行われているNICT様主催の一連の実験において、8Kカメラシステム「SHK-810」による8K超高精細映像の配信実験に参加しております。本年はこれに加えて4Kカメラシステム「UHK-430」による4K非圧縮IP伝送、当社取扱いHarmonic Virtualized Spectrum-X 4K/IP収録・送出サーバによる自動収録/送出、さらに名護、秋葉原、札幌を繋ぐ2,370kmを網羅する広域網において、SMPTE ST 2110、ST 2059-2規格に基づく放送IPシステムによるリモートプロダクション実験も実施しました。(下記図参照)

■ 実験のポイント
  IPリモートプロダクションではPTP (Precision Time Protocol)による同期結合が必須要件となります。これはライブ制作において複数台のカメラを用いる場合、それらが正しく同期していなければスイッチング時に映像のフレームが一致しない現象が生じるためです。規格上の仕様である1μS(マイクロ秒)単位の同期精度に対し、「揺らぎ」と呼ばれる伝送遅延のばらつきを最小にするリアルタイム補正のノウハウ、さらにSMPTE 170Mなど、放送規格上はpS(ピコ秒)オーダの同期精度が要求される中、同期結合による安定したクロック再生は大きな課題となります。今回は4K映像リモートプロダクションを想定した実験として、名護で受信したGPS信号を源信とするPTPを広域ネットワーク経由で秋葉原、さらに札幌まで伝送し、札幌―東京間での映像同期および、札幌―沖縄間のPTP時刻同期を実現しました。

  当社はこれまで、2019年11月のInter BEE における「IP Remote Production Network」特別共同展示において、放送局内設備のIP化をイメージし、会場である幕張メッセを縦断するネットワークを構築、放送用機器のIP接続を実施し、また、2020年のInter BEE Onlineでは、株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)様のVPNサービスとフレッツ光の広域網を利用した大規模遠隔運用をデモンストレーションしてまいりましたが、本実証実験ではそれらの実績を組み合わせ、放送局のお客様にも将来の放送システムを具体的にイメージいただけるソリューションを実際にお示しすることが出来ました。
 昨年から続くコロナ環境下において、通信・放送分野においても感染拡大防止、運用継続性の観点から、運用者の分散、遠隔運用や撮影・制作の制限など通常の業務フローが大きく変わりつつあります。今回の実験参加は、このようなウィズコロナ時代の映像制作を見据え、当社としても大変有意義なものとなりました。

■ 今後に向けて
  東京-札幌間など長距離回線でのリモートプロダクションにおけるネットワークの帯域管理と負荷分散の必要性の精査、最小遅延を前提とする放送設備とのシステム結合における問題点など、解決すべき課題は続きます。放送システムがIP化の潮流にある中、IPならではの機能と信頼性のある制作環境を両立させるソリューション実現を目指し、お客様と共にこれからも新しい価値を創るべく注力してまいります。

※国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT: National Institute of Information and Communications Technology, エヌ・アイ・シー・ティ): 情報通信分野を専門とする我が国唯一の公的研究機関として、豊かで安心・安全な社会の実現や我が国の経済成長の原動力である情報通信技術(ICT)の研究開発を推進するとともに、情報通信事業の振興業務を実施されています。
※リモートプロダクション: 番組制作において中継先のカメラを離れた場所の副調整室などで制御し、映像のスイッチングを行うことにより、中継先の機材を最小限として効率化を図った制作方法を意味します。今後の普及が期待されています。
※フレッツ光はNTTグループによるブロードバンドサービスです。
関連プレスリリース:https://testbed.nict.go.jp/event/yukimatsuri2021-press.html

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