放送

2024.02.09

株式会社 南日本放送様 - 鹿児島県鹿児島市

自社制作番組等でファイルベースシステムが活躍
災害映像の自動切り出し機能で収録作業の負担を軽減

 

株式会社 南日本放送様は、JR 鹿児島中央駅から徒歩15 分。市内の中心を流れる甲突川沿いに本社の社屋があります。1953 年に鹿児島県初の民放ラジオ局として開局され、2023 年に開局70 周年を迎えられました。社是「ふるさとたっぷり」、企業理念「地域の人と喜怒哀楽をともに」のもと、地域に寄り添う・地域の魅力を伝えるコンテンツ制作を目指し、日々、放送活動を展開されています。

またローカル局としては、自社制作比率が高く、特に災害報道に注力されています。昨夏には、発生から30 年となる鹿児島集中豪雨「8.6 水害」の2 時間番組を放送されました。

ファイルベースシステム導入の経緯について技術局の末吉様、亀之園様に伺いました。

当社のファイルベースシステムは、2005 年からノンリニア化を始めており、2012 年に送出サーバーを導入しました。記者がニュース稿を立てる報道支援との連携や、取材した映像を入れる素材サーバーなどを段階的に導入していましたが、完全なファイルベース化には至っていませんでした。
そして2021 年のテレビマスター更新で、災害対策のためにマスター設備を1 階から2 階に移設するタイミングで、ファイルベースシステムも更新することになりました。以前はファイル化が図られてなかったので、HDCAM のファイル変換のために実時間かけており、とにかく時間がかかっていました。一番時間がかかるところが自動化されて、同時にファイル変換できる点が更新の一番のポイントです。


テレビマスター

弊社を選んでいただいた理由について

仕様に対してのコストパフォーマンスが良かったからです。また、以前から使っている編集システムも池上さんからの納入でしたが、保守体制に問題がなく迅速に対応していただけた実績があったことや、社内の細かいところまで知っているので話が進めやすいのも助かっています。独自仕様に真摯に対応していただき、修正が入った際、現地で即座に対応していただき有難かったです。

運用状況について

報道用の編集エリア
制作用の編集エリア

編集機は18 台を導入し、報道用10 台、制作用8 台に振り分けて運用しています。今回導入した番組・CM エクスポーターにより、念願の完全メディアレスとなりました。また、収録系統については、今までは収録棚に2 系統しかなく、足りないときは別の場所へ分散させていましたが、今回6 系統を一か所に集約したことで、素材管理が容易になりました。スタジオサブ側のデッキを減らすこともできましたのでメンテナンスの頻度も低くなることが期待できます。

同じサーバーに収録したものを投げ込めばいいので、「どこにある︖フォーマットしていいの︖」という迷いがなくなりました。これまではディスクに情報を書き忘れると何の素材が入っているのか分からず困ることがありましたが、サーバー上で情報を書き込むと中身がわかり、検索もしやすいです。

今となっては普通かもしれませんが、ファイル収録の最大の特長として、時差編集の機能も追加されています。収録中でも、収録中の頭の方から切り出せるので、時間が要求される報道現場などで重宝しています。例えば、女子駅伝中継などでエンディングダイジェストとして使えます。

また、県内各所に設置している情報カメラの24 時間録画の装置8 台が老朽化していました。地震映像などを収録したい場合は、録画装置があるラックへ行って、切り出したい映像の実時間分を1 台ずつ再生して取り込んでいました。今までは非常に手間がかかっていたこれらの作業ですが、更新によって現在は自動で映像が切り取りされるので、素材がすぐ手元に届きます。


ファイルベース機器のラック

導入後の感想や効果

新しくなった素材収録ソフトについて、導入直後は操作に戸惑い、取り込み漏れなどがありましたが、数週間後には取り込みミスも無くなりました。以前は、素材を収録する際に回線ルーター専用の切替器を操作する必要があり、記者に機器操作を習熟させることに苦労していました。導入した素材収録システムについては、PC ベースのため技術の手を必要とせず大きなハードルなく操作出来ています。また、収録中の素材も編集ソフトへ取り込むことができるため、編集担当からは、素材受けながら編集可能になったことが有難いという声を聞いています。

バックアップとしてニュースや自社生放送など、何を放送したかを確認するために自社生放送を同録収録(放送と同時に収録)しています。以前は手動でテープに収録していましたが、予約収録が可能になり自動でサーバーに取り込まれるため、今までの煩雑な作業から解放されました。

また、回線ルーターと連携して、マルチ画面に収録中タリーが表示されるようになったため、一目で収録状況を確認することができ、非常に判別しやすくなっています。

実際に活用されている事例を教えてください

月~金の情報番組「かごしま4」とニュース番組「MBC ニューズナウ」や、水曜19 時から生放送の鹿児島が舞台の地域エンターテインメントプログラム「てゲてゲ」などで活用しています。ローカル局の中では自社制作番組が多く、編集機はほぼ毎日フル稼働しております。

報道サブ

報道スタジオ

今回導入した設備の一つ、ループ映像収録システムLoopREC は、導入後1 度緊急地震速報発生時(2022 年10 月2 日大隅にてM5.9 発生)に作動しました。これは、緊急地震速報が発生したタイミングにて自動で映像を切り出し、送出サーバーへ転送するようになっているので、編集の手間が無く即座に映像を放送することができました。利用する状況にならないことを祈っていますが、いざというときに活用できるように訓練していきたいと思っています。

左上の日時を選ぶと、過去の映像を指定した時間分だけの映像が、
収録サーバーへ自動で転送されます。

システムの今後

今後、制作サブや報道サブの更新が控えています。今回導入したファイルベースシステムを上手く連携させ、煩雑な操作なしに多様化する要望に対応できるシステムを構築したいと思っています。

池上への期待

放送業界は広告収入減、若者のテレビ離れ、人材不足等の問題を抱えており、加えてローカル局では地域からの支持を得ることが課題となっています。そうした事情をご理解いただき、設備で費用削減できる、また効率性の高いローカライズされている製品を作り続けてほしいと思います。

鹿児島の放送局にとって桜島噴火や降灰の情報発信は欠かせません。
スタジオには桜島と鹿児島市市内のジオラマがありました。

コミュニティスペース「tege ラボ」のご紹介

1 階には、「tege ラボ」というコミュニティスペースがあります。鹿児島に関する書籍なども自由に閲覧可能です。イベントスペースとしても活用されており、地域の方が集まる憩いの場所となっています。

導入製品

●報道ファイルベース iSTEP+
●素材共有サーバー MediaGrid4000(Harmonic)
●送出サーバー Virtualized SpectrumX(Harmonic)
●編集端末 REXCEED-W2000(Grass Valley) 報道9 式 制作8 式
      REXCEED-W4000(Grass Valley) 報道1 式
●ループ映像収録システム LoopRec(MEDIAEDGE)
●録画・中継・配信/ 送出サーバー MEDIAEDGE Server R606(MEDIAEDGE)


株式会社 南日本放送様:https://www.mbc.co.jp/



 
 

技術局 技術部 専任部長

末吉 雄一郎様



 
 

技術局 制作技術部 主任

亀之園 栞様


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