放送
2020.01.15
ドイツ・ラインマイン応用科学大学 様
ドイツ・ラインマイン応用科学大学様のHDR映像処理研究プロジェクトに
UHK-430 Native 4Kカメラが採用
ドイツ・ヴィースバーデンのラインマイン応用科学大学で進められているHDR映像処理の研究プロジェクトに、池上のUHK-430カメラが採用されました。
このプロジェクトはEnhanced Video Imaging (EVI)プロジェクトと名づけられ、HDR映像をSDR映像にダウンコンバートする際に生じる白飛びと黒潰れのスポットを自動で察知し補正する機能の開発が進められています。放送技術の過渡期においてより良い視聴環境を実現するために、HDRで撮影した映像を一般的なSDRのテレビで視聴する際に必要な技術として注目されています。
ラインマイン応用科学大学でメディアテクノロジーの研究をするマイク・クリストマン教授は次のように述べています。「今後、HDRで撮影された映像が増加することで直面する問題の1つに、HDRからSDRへのコンバータを、現在使われているSDRテレビの数だけ用意する必要があるという事が挙げられます。EVIのダウンコンバータ技術から最高の結果を出す為には低ノイズで広ダイナミックレンジを持つカメラが必要です。そのカメラこそが、UHK-430です。カメラから取得できる映像情報量が多いほど、私たちのシステムは効果的に機能します。画質とセンサの性能による映像表現力がともに優れているUHD/HDRカメラとして、IkegamiのUHK-430が最適です。」とクリストマン教授はUHK-430を高く評価しています。
また、EVIプロジェクトのマネージャーであるルシエン・レンツェン氏は、「私たちの研究は、撮影時の輝度値が必ずしもそのままの数値でHDRディスプレイに再現されないことを、はっきり示しています。グレア※1の影響により、不均一なシーン(極度に明るい箇所と暗い箇所が並存するシーン)においてはHDRの方がSDR映像より不自然に見えることもあります。カラーグレーディング※2の際に均質化を施すことで、このような極端なエフェクトを緩和することはできますが、生放送を行う際には現実的な手法ではありません。一方でEVIは、リアルタイムで自動的にホワイトバランスとEV値※3を最適化し、さらに色相と彩度の調節が行われるように設計されています。」と述べています。
現在、EVIの技術を搭載したHDR・SDRダウンコンバータのプロトタイプが、ドイツのバイエルン放送局(BR)、西ドイツ放送局(WDR)の2つの公共放送局で検証されています。映像処理は、わずか1Uサイズのコンパクトなサーバ上でリアルタイムに行われています。カメラはコンバータに直接繋がり、変換により作成されるSDR信号は従来と全く同じように扱うことができるため、ワークフローを変えることなく運用することが可能で、実用化に向けた検証が行われています。
池上通信機は、EVIプロジェクトのように、より良い視聴環境を支える技術開発に対しても、高品質な映像を提供することで貢献しています。今後も、放送局だけでなく、多方面で求められる映像のクオリティを追求し、製品化して参ります。
【UHK-430の概要】
UHK-430はネイティブ4Kのカメラシステムであり、HDR/SDRの同時出力が可能です。3板式の2/3インチCMOSセンサは3820 x 2160のフルUHD解像度に加え、スタジオや野外撮影に欠かせない深い被写界深度を実現しています。また、B4バヨネットマウントを搭載しており、一般的な2/3インチのHDレンズが装備可能です。さらにシステムエクスパンダSE-U430により、高倍率大型レンズを装備することができ、より大きなスタジオでの運用に最適です。
その他にも、カメラヘッドとCCU間は40Gbpsの超広帯域を確保し、4K R:G:B 4:4:4の非圧縮の映像信号が伝送できるほか、16軸の色補正機能やフォーカスアシスト機能を含む数々の機能が使用可能です。また、オプションのMoIPモジュールは、4K UHDの映像信号の他、インカムやリターンビデオ等の信号をCCUからIPハブまで光ファイバーケーブル1本で伝送することができます。複雑なケーブル配線は不要になり、簡単で低遅延な信号伝送を実現します。モジュール交換により新しい規格に対応できるため、長期にわたり最高のレベルでお客様の運用をサポートする事が可能です。
※1:視覚的な刺激を生じさせるような強い光のこと。
※2:映像の編集工程で色調の加工を行うこと。
※3:撮影時における露出の明るさを示す値のこと。
ドイツ・ラインマイン応用科学大学様のHDR映像処理研究プロジェクト