menu

放送

2025.12.22

株式会社 愛媛朝日テレビ様 – 愛媛県松山市

番組制作の進化をともに実現するeat様中継車カメラシステム
~Jリーグや高校野球の中継で活躍~

株式会社愛媛朝日テレビ(以下、eat)様は、愛媛県松山市の城山公園から車で10分ほどの場所に本社を構え、2025年、開局30周年を迎えられました。「地元を愛す」というキャッチフレーズのもと、笑顔・明るさ・楽しさを地元に届けられているeat 様の特徴のひとつが、高校野球をはじめさまざまな中継業務を実施されている点です。今回は、2025年3月に導入いただいたUNICAM XE シリーズの4K/HD ポータブルカメラシステム「UHK-X700」の運用方法や中継制作で意識されていること、当社への思いについて、2022年より朝日放送テレビ株式会社(以下、ABCテレビ)から出向されている技術局の岡田様にお話しを伺いました。
(聞き手:営業・マーケティング本部 本部長補佐 秋山浩志 ◆記載部分)

玄関では大きなeat様のキャラクター看板が出迎えます
松山が生んだ俳人・正岡子規がプレーし野球を広めたことから
「野球王国松山」と呼ばれています
現存天守がある松山城の城下では大街道を練り歩く松山野球拳おどりも開催

中継車カメラシステム更新のきっかけ

技術局 技術担当部長 岡田光司様

現在、当社の重要業務である高校野球中継制作に加えて、JリーグFC今治の公式映像制作も担当するようになって3シーズン目になります。こうした年間を通したスポーツ中継制作が決まり、将来的にどんな制作をすべきか検討していた時期に、カメラ更新のタイミングを迎えたのが導入のきっかけでした。
メーカー選定検討の結果、池上さんのカメラシステム「UHK-X700」2式を導入しました。Jリーグは年間19試合、平均月2回ほどの頻度で試合があり、毎回運用しています。

中継車カメラシステムのこれまで

2009年に導入いただいた報道中継SNG車(左)も
並んでいます

当社は以前からIkegami カメラユーザーで、2002年に導入した「HDK-79EX」から、「HDK-79EXⅢ」、「HDK-790GX」へと続いてきています。代々Ikegami カメラを運用している中でMenu階層などオペレーションの継続性が保たれているのは良いところだと思います。中継用として現在Ikegami カメラを7台所有して効率的に運用しています。

中継車システムとしては、珍しい形ではありますが2 台の中継車輛を1 セットとした構成となっています。野球中継制作に注力していきたいという目的で、システムインテグレーター(SI)を入れず前任者が構想から約2年間かけて各ベンダーにヒアリングしながら組み上げるというユニークな方法でできた中継車なんです。大型車が入らない局舎の駐車スペースの都合上、何かしらの工夫が必要だったので、システム車輛とオペレーション車輛の2台を1セットとして運用しております。車庫には2009年に導入した池上さんの報道中継SNG車も隣にいます。

Jリーグ中継運用時

オペレーション車輛と映像システム車輛の2台を
1セットとして制作中継で運用されています

オペレーション車輛
(CG、スローオペレーション、スイッチャー)

映像システム車輛
(VEと収録)

Ikegamiカメラを選んだ理由

愛媛県今治市の里山スタジアムでのJリーグ中継

私は現在eatに出向して4年目になります。出向元のABCテレビに勤務していた時から、Ikegamiカメラの肌色(I軸)方向の発色の良さはよく知っており、池上さんの4Kカメラの立ち位置にとても興味がありました。

もちろん今あるHD制作をしっかりできることを採用のポイントにしていますが、そのほかの要素では拡張性を非常に重視しています。拡張性の一つは4K HDR制作、もう一つはHFRの対応というところがスポーツ中継において、大きなファクターだと思っています。
高解像度化やハイスピード化などに伴って、競技をより立体的に見せていくというスポーツ映像の歴史を踏まえても、この二つをまず重視したいですね。

私は、4K/HDのサイマル制作において、中継車など機材や監視環境に制限がある場面ではシーンリファード*があるべき姿だと思っています。他社製品との比較検討の結果、画作りの自由度に期待してIkegamiカメラを選定しました。他社のカメラシステムに入っていても問題なく使えることが分かり、技術的な広がりを期待して試してみたいと思いました。

*シーンリファード:HDRからSDRへの変換において、SDRディスプレイ上で画質管理するマッピングの方式の一つ。主にHDRとSDRの同時制作に使用される。

付属品への評価

■ビューファインダー

2inchの接眼ビューファインダーも採用しています。拡大しても歪みが少ないところは社内のカメラマンの評価も高いです。コンサートなどのLow Keyなシーンの撮影では、視認性を良くするためにコントラストを上げ気味に、ブライトを下げる使い方をするときがありますが、思い通りに調整できるのが非常に良いです。

■カメラマイク

今回、カメラマイクは良いものがないか検討していた時に国内製造されているアツデン製をご紹介いただき、はじめて導入しました。今のマイクの形と変わらないのでジャマ―(防風)もそのまま使えて、奥行きのある音が録れる点を評価しました。

4K制作への意識

◆今年3月に導入いただいた「UHK-X700」は、スポーツ中継制作向けということでHFRの機能(*オプション)も視野に入れられて導入いただいたと思いますが、4Kも意識されていましたか?

そうですね。残念ながら、現状では当社では4Kでの映像制作の仕事はコンサート収録等のみで、数としてはまだ少ないのですが要求はあります。我々はメディア企業であり、当然ながらコンテンツホルダーとしての出口戦略が経営を大きく左右します。最近、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の放映権取得に関する話題もありましたが、テレビ放送とは別の成長分野である配信の世界では4K制作が一般的になっている状況のなかで、我々はどういう設備を持つべきかを考えたとき、やはり4Kカメラを持つことは無駄ではない、むしろその構えにしておくべきだと考えています。

高校野球中継制作

UHK-X700を操作される岡田様

愛媛県は野球がとても盛んな地域で、高校野球の強豪校が多いこともそうですし、夏には松山城から大街道を練り歩く野球拳おどりというお祭りも実施されています。当社は長年県大会の中継業務を担当しており、高野連とともに高校野球の活性化を図っています。

今年の中継では、「UHK-X700」を、1塁ベンチと3塁ベンチの横で運用しました。夏の野球中継は非常に過酷な環境で実施しています。直射日光が当たるところに数時間おいていますし、カメラの黒色の筐体が太陽の熱を吸収して非常に高温になりますが、これほどの厳しい環境でも問題なく運用できております。それでも暑い真夏日の撮影では、カメラの上によしずをかけて、さらに下から扇風機で熱風を飛ばすなどの工夫で熱対策を行っています。

◆当社のUNICAM XEシリーズは、重量バランスの良さには自信がありますが、実際担ぎの運用をしてみて印象はいかがですか?

今年の高校野球の準決勝と決勝戦の中継で、アルプススタンドで応援団を撮るため担ぎで撮影を担当しましたよ。最近はレンズがどんどん重くなって、前が重いバランスになってきています。ショルダーパッドの調整幅が大きいことから、レンズが重くなってもヘッドとのバランスが取れやすく非常に良いと思っています。

◆ご採用いただいたベースステーション「BSX-100」はオプションでMoIP対応可能ですが、今後のIP化についてはいかがでしょうか?

大阪・関西万博では、次世代ネットワークによるリモートプロダクション実証等も進んでいますね。放送のIP というのはインフラとしてすぐそこにきていると感じています。ここ本社から高校野球中継をしている坊っちゃんスタジアムまでは2~3キロですが、実は既にCATVのダークファイバーが通っています。そう考えると、野球中継の将来の姿としてリモートプロダクションの環境インフラはかなり整っており、それに伴って中継車の運用も変わっていくだろうと思います。カメラとしては、やはり「IP READY」にしておく必要があると強く感じています。

今後について(技術・業界について)

カメラマンはもっともっとわがままで良いと思っています。この「わがまま」ということばの意味は、次の新しいことを考えるときに、「今のこの天井・上限をどうやって上げようか?」みたいに、そういう考え方をすることです。自分の話で恐縮ですが、実現できる、できないは別として自分の夢を盛り込んだ仕様書を書いたこともありました。放送局でもプロダクションでも立場を問わず、より良い提案や希望を出していく考えを大事にしないと技術の進歩はなかなか生まれてこないと思っています。

今は準キー局もローカル局も、どうしても自分達のことで精一杯ですが、「自分のところが快適に使えているからこれでいいよ」ではなくて、「こんなことできたら他の制作現場でも、かゆいところに手が届くのではないかな?」という様な想像力が旺盛な方がもっと増えたら、この業界の進歩の速度が速くなっていくと感じています。

池上への思い

岡田様(右)と弊社秋山(左)

業務用の市場というのはやはりユーザーとメーカーさんが一緒に育っていく関係が良いと思っています。池上さんは、ユーザーに対する想像をしっかり形にしてくださるなというイメージを私は持っています。各社がやはりそれぞれの強みを持っているので他社さんとも良いライバル関係として、市場の発展につなげていってほしいです。技術力は光るものがあると思っています。カメラヘッドとベースステーションの間を非圧縮でちゃんと伝送できているのは池上さんの特長ですし、そこは本当に誇れる部分です。

その技術力をユーザーフレンドリーの分野に繋げ、もっと広めていけるよう取り組んでいただきたいです。マーケティングという点では、もしかしたらこれからもっと成長の余地があるかもしれないです。「かゆいところに手が届く」「今一番欲しい機能がちゃんとついている確実なカメラ」みたいな、良い製品を出してくださることをめっちゃ期待しています。

運用いただいている製品

4K/HDポータブルカメラシステム:UHK-X700

4K /HDポータブルカメラシステムとして最大のパフォーマンスを発揮する「UHK-X700」。新開発グローバルシャッター対応CMOSセンサー採用により、ロ ーリングシャッターによる歪みやフラッシュバンドのない自然な4K高画質映像を再現。スタジオ収録はもちろんスポーツ中継、ライブイベントなど動きの早い収録時に高い効果を発揮します。

ベースステーション:BSX-100

「BSX-100」は、小型・軽量化を実現した3Uハーフラックサイズのベースステーションです。 汎用性の高いインターフェースを備えています。SMPTE ST 2110 準拠のMoIPなど、将来を見据えたオプションによりさまざまなニーズに柔軟に対応します。

TikTok202万人登録!世界と繋がるSNSに積極的

◆「背中男」としてスタジオを背景に、ダンスする男性の姿がSNSで話題ですね。

技術局員がはじめたこのアカウントも現在登録TikTok202万人(2025年12月現在)になりました。海外のフォロワーも非常に多いです。スタジオ内でのダンスだけでなく、県内高校ダンス部とのコラボも多数あり、単にコンテンツ発信というだけでなく、「地元を愛す」というモットーをもとに、地上波だけではなく皆さんと出会えるためのコンテンツとして、世界中にいるフォロワーとの交流もコンセプトの一つと考えて輪を広げています。
URL:https://www.tiktok.com/@eat_official5

岡田 光司 様
株式会社愛媛朝日テレビ 技術局
技術担当部長 兼 経営戦略局

株式会社愛媛朝日テレビ様公式サイト
URL:https://eat.jp/

Contact Us

お問い合わせ

ご希望の要望に合わせてお問い合わせください。