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セキュリティ

2026.05.27

南海電気鉄道株式会社様 - 大阪府大阪市

フルHDホーム監視ITVシステムを導入
視認性の向上と保守労力の軽減に貢献
Ikegami独自の昇降式モニターハウジングが活躍 導入駅を拡大予定
大阪のなんば駅と関西空港駅を結ぶ空港特急「ラピート」の前で
左から西山様、寺島様、小園様

南海電気鉄道株式会社(以下、南海電鉄)様は、1885年(明治18年)に創業し、日本最古の私鉄の一つとして関西地域の交通インフラを担われてきました。大阪と和歌山、関西国際空港、高野山等を結ぶ路線を有し、通勤・通学輸送をはじめ、観光輸送や空港アクセス等、多様なニーズに向けた輸送網を形成されています。
近年では安全・安心な輸送の確保を最優先としつつ、バリアフリー化や設備更新、デジタル技術の活用等に積極的に取り組まれています。2025年には創業140周年を迎えられ、次世代に向けた新たな価値創造や持続可能な鉄道経営に挑戦されています。

南海電鉄様のそうした姿勢に基づき、この度、昇降式モニターハウジングを用いたフルHDホーム監視ITVシステムを導入いただきました。今回は、本システムの導入にあたった南海電鉄様の鉄道本部 安全創造部兼運転車両部(自動運転) 西山 偉様、鉄道本部 施設部(電気) 小園 亮様、鉄道本部 運転車両部(運転) 寺島 慧様に、課題と導入までの検証内容や評価のポイントについて伺いました。

展示会で紹介いただいたIkegami製品 導入実績に高い信頼

2022年に開催された第8回鉄道技術展のIkegamiさんブースで製品を見たのが最初のきっかけでした。率直に言うと、Ikegamiさんのことは展示会で初めて知りました。放送用カメラをはじめ映像機器を製造しているという話から始まり、ITVシステムを紹介していただきました。鉄道事業者への導入実績が多いのも信頼出来るポイントになりました。

設備更新において安全性をより高めるために

当社では、各種設備の老朽化が目立ち始めており、計画的に更新を進めていくべきタイミングに来ていました。ただ更新するだけでなく、生産年齢人口の減少を見据え、省力化につながる設備の導入も重要なテーマでした。特に、モニターの保守要員の確保やホーム安全確保のための人員配置が今後ますます難しくなることが懸念されていました。あわせて、従来以上に安全性を高めたいという課題もありました。こうした背景から、安全性向上と省力化の両立が期待できる手段として「フルHDホーム監視ITVシステム」の導入検討を進めることになりました。

関係者による評価試験で安全確保をしっかり実感

新しい製品を導入する際には、安全基準を満たせているかどうかが非常に重要なポイントになります。今回のITVシステムについては、2024年のワンマン化に伴い泉佐野駅にて先行して導入しましたが、今後、本格的に展開していくために2025年4月から半年間かけて本社部門および現場の運転士・車掌が一体となって評価試験を実施しました。昇降式モニターハウジングの操作性については保守区(保守・管理する部門)へ持ち込んでいただいて実際に操作しながら確認しました。関係者が一堂に会して幅広く意見を出し合えたことで、正式採用に向けて大きく進めることができたと思いますね。やはり、百聞は一見にしかずということで、実際に皆さんに見てもらうことで製品の理解も深まりましたし納得感も高まったと思います。

視認性の向上と保守のしやすさで高評価 現場からも前向きな声が多数

モニター視認性の向上で、安全確認できる範囲が広がった

まず、モニターが大きいので見やすさが格段に向上しました。24型モニターを採用したことで安全確認できる範囲が大幅に広がりました。これまでのスクエア型モニターでは、1〜2両を見るのが精一杯でしたが、本製品では3〜4両までしっかり確認できるようになっています。縦方向に広く映せるので、ホーム周辺の空間もより把握しやすくなりました。
また、人の見え方も改善されています。従来の17型モニターに比べて大きく表示されるようになり視認性がぐっと上がりました。

直射日光が当たっても、しっかり見える

次に、直射日光の影響についてです。高輝度モニターなので昼夜を問わず鮮明に見える点は現場でも好評です。当社の路線は南北方向に走る区間が多いため、時間帯によっては西日や太陽光の影響を受けやすいのですが、そうした環境でもしっかり視認できるのは大きなポイントです。実証試験を行った泉佐野駅でも、周囲に高い建物が少ないため特に冬場は太陽光と重なって見づらくなることがありますが、今回の高輝度モニターによってその点も大きく改善されたと感じています。

昇降式ハウジングで、保守作業がより安全・効率的に

3つ目は、昇降式ハウジングによる保守性の向上です。これまでは脚立を使っての高所作業が必要でしたが、本製品ではハウジングの昇降機構によって地上で作業ができるようになり高所作業が不要になりました。その結果、作業の負担が大幅に軽減され省力化にもつながっています。

こうした評価試験の結果を総合すると、本製品は従来品と比べて扉操作時だけでなく、保守作業時の安全性も大きく向上していることが確認できました。また、実証期間中の乗務員からも、「他の駅にもこのモニターを付けてほしい」といった前向きな声が多く、現場からの評価という点でも手応えを感じています。

導入にあたっては、コスト面でのハードルもありました。より良い製品を採用しようとすると、どうしてもコストは上がります。そのため、本格導入にあたっては費用対効果をどう出すかが大きな課題でした。
今回の製品で、従来のスクエア型(4:3)モニターから縦型に変わったことで、1台あたりで映せる範囲が広がっています。その分、設置台数自体を減らせますし、運用開始後も作業軽減による省力化により、イニシャルコストもランニングコストも抑えることができます。泉佐野駅では従来機をそのまま更新するよりも結果的にコストを抑えられることが分かりました。そういった検証を重ねながら、コスト面の課題もクリアできたので、今回の導入につなげることができたと思っています。

運用面・保守面ともに期待以上の効果を実感

運用面でも保守面でも、当社が求めていた役割や期待していた効果は、実際に使ってみてすべて満足しています。

モニター清掃等の定期点検における効果

特に大きな効果として、高所作業が要らなくなったという点が挙げられます。これまでは脚立を使った作業が必要でしたが、昇降式になったことにより地上で作業できるようになり、安全性が大きく向上しました。近年は安全対策の法整備も進んでいるため、その観点でも非常にメリットがあります。脚立を使わなくていいというだけでもリスクはかなり減りますし、補助者も不要になりました。また、モニター台数を削減できたことで点検箇所も減り、総合的に見て、保守費用の大幅な削減につながっています。

故障時のモニター交換作業における効果

これまでと大きく変わったのが、故障時の対応ですね。従来は故障が発生すると、施設部が緊急対応に入る必要があり、そのたびに予定していた作業を中断する等、全体の計画に影響が出ていました。しかし、運輸側で一次対応ができるようになったため、モニターの故障のみの場合は技術部門の出動が不要になり、計画を崩さずに運用できるようになりました。結果として、会社全体で見ても業務が安定化すると考えています。労働力不足が課題となる中で、こうした作業時間の削減は非常に大きな意味を持ちます。

また、故障時は作業員が到着するまでの間、列車区の係員や駅係員がホームに立って安全確認を行う必要がありましたが、導入後は迅速に復旧できるため、そうした対応も軽減されます。結果として、省力化と輸送の安定性向上の両方につながっています。これも現場的にはかなりありがたいポイントです。作業内容としても、家のテレビを交換する作業とほとんど変わらない印象で、復旧時間がかなり短縮されます。今後設置数が増えていけば、この効果はさらに大きくなっていくと思います。

泉佐野駅での評価を踏まえ、継続してIkegami製品を導入する方針

先行して泉佐野駅で運用しておりますが、結果として高く評価しています。今後は他の駅にも本システムを導入していく計画です。具体的には、やはり乗降客数が多い駅や、現在何かしらの課題を抱えている箇所を優先的に対応していきたいと考えています。現場係員から「ここを改善してほしい」という具体的な意見を踏まえて、着実に進めていくつもりです。

Ikegamiの技術発展に高い期待

これまでの導入および運用を通じて、製品の完成度や提案内容について高く評価しています。今後さらなる発展に向けて、期待しているのは以下3点です。
まず1点目は、Ikegamiさんに限った話ではありませんが、IPカメラ特有の映像遅延についてです。多くのお客様が乗り降りする路線においての安全対策としてはリアルタイム性を求めています。ここがさらに改善されれば、活用の幅がもっと広がるはずなので、技術開発にはとても期待しています。
2点目は、ハウジングの軽量化です。既設のハウジングより重くなってしまうと、設置時に強度の計算をし直す必要が出てきます。ハウジング自体の重量は軽ければ軽いほど助かります。重量が原因で屋根から吊り下げるのが難しい場所があり、ホーム下から基礎を打って立てているケースもあるので、軽量化をぜひ実現して欲しいと思います。
3点目は、車掌用カメラと監視カメラの併用に関する提案です。映像の使用用途として、車掌用は縦の画角、防犯監視用は横の画角を採用しています。可能であれば、今の撮影範囲は継続しつつ、用途に合わせて二つの映像出力を実現できる製品展開を期待しています。

「安全・安心を礎に、愛され続ける鉄道」への取り組み

当社は、2026年4月1日の分社化を契機に、鉄道事業会社としてのありたい姿として「安全・安心を礎に、愛され続ける鉄道」を掲げています。この理念のもと、鉄道事業の根幹である安全・安心の確保を、これまで以上に重視した取り組みを推進していく方針です。
なかでも、駅ホームは多くのお客様が日常的に利用される重要な空間であり、そこで提供される安全・安心は、鉄道事業に対する信頼を支える基盤であると考えています。今後は、ITV設備をはじめとする各種安全関連設備のさらなる高度化を図り、より確実で質の高い安全・安心をお客様に提供していきたいと考えています。
また、社会環境や利用者ニーズの変化を踏まえながら、最先端技術や新たな発想を積極的に取り入れることで、駅空間全体の安全性と利便性の向上を目指していきます。こうした取り組みを通じて、お客様が安心して利用できる鉄道環境を整備し、「愛され続ける鉄道」の実現につなげていきたいと考えています。
分社化後も、鉄道事業に特化した視点から、安全・安心への取り組みを着実に積み重ねることで、社会的使命を果たし、地域やお客様から信頼され続ける鉄道事業会社を目指してまいります。

観光列車「GRAN 天空」運行開始

2026年4月24日に運行を開始した新観光列車「GRAN 天空」は、世界都市「難波」と世界遺産「高野山」を約1時間30分の旅路で繋ぎます。都市部から山間部へと移り変わる景色を車窓から楽しめるのが特長です。
製品紹介

・24型フルHDモニター:FCM-E2470HD ×4台
・昇降式モニターハウジング:モニター1連タイプ MY-SW241T ×1台 
・昇降式モニターハウジング:モニター3連タイプ MY-SW243T ×1台 
・フルHDカメラ:ISD-890 ×4台
・カメラハウジング:TY-587 ×4台

※2024年11月泉佐野駅設置
※2026年度以降各駅設置予定

プロフィール

鉄道本部 安全創造部兼運転車両部(自動運転)
課長補佐 西山 偉様
鉄道本部 運転車両部(運転)
上級主任 寺島 慧様
鉄道本部 施設部(電気)
上級主任(電気・イノベーション)  小園 亮様

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