セキュリティ
2024.10.24
九州旅客鉄道株式会社様
簡単に取り扱い可能な昇降式モニターハウジングの導入でコストを抑えながら安全作業と省力化を実現
1987年4月1日に日本国有鉄道が分割民営化されて、九州旅客鉄道株式会社(以下、JR九州)様が発足しました。「安全とサービスを基盤として九州、日本、そしてアジアの元気をつくる企業グループ」を「あるべき姿」として掲げ、九州地方を中心に鉄道事業を運営するだけでなく、旅行業、小売業、不動産業や農業等の多方面で幅広く事業展開されています。特に鉄道事業では、お客様に安全に利用いただくための設備整備や保守作業をされており、何事にも先駆けて取り組まれているのがJR九州様の特長です。
2024年3月には、全国の在来線で初めて「GOA(Grade of Automation)2.5」規格の自動運転を導入し、香椎線にて運行開始されました。GOA2.5は、国際自動運転規格のGOAの段階の中で、免許を持たない係員のみで運行する、日本で規定された独自規格です。列車は自動で運行されますが、緊急時には係員による緊急停止操作を行うことで、安全を担保できます。
自動運転等新しい技術を積極的に取り入れているJR九州様に、当社の昇降式モニターハウジングをご採用いただきました。海老津駅・赤間駅で運用されて数年が経過し、改めて導入までの経緯や、実際の現場での操作性、解消された課題、今後の期待等についてお話を伺いました。
九州旅客鉄道株式会社
折尾工務所 所長
平野 智也様
Ikegamiの昇降式モニターハウジングを導入するまでの道のり
2019年に千葉の幕張メッセで開催された鉄道技術展で、Ikegamiさんの昇降式モニターハウジングの存在を知り、繋がりができたことがきっかけです。昇降式モニターハウジングを導入することで、プラットホームに設置されたモニターを点検・検査する際に、脚立を使った高所作業が必要なくなるため、安全に対応でき、労働災害の防止や省人化に繋がります。私たちも常に新しいものの導入や、一緒に協力して鉄道分野で良くしていきたいという思いが強いので、展示会を通して良い製品をアピールしてくれるのは非常にありがたいです。
先進技術を積極的に取り入れているJR九州様によるご採用ポイントとは
JR九州では、初めての昇降式モニターハウジングの採用となったため、社内他部門からの担当者とも打合せを実施しながら決めました。導入決定の一番の決め手は、ハウジング自体が汎用性に優れており、ハウジングに収納するモニターを新しいものに更新しなくても、現行のものをそのまま使用できるため、コストの面でも抑えられたところです。
以前は必要だった脚立を用いた作業がなくなり、安全に保守作業できるようになりました。初めて採用した海老津駅は構造上、特にホームが先端に向かって曲線状に狭くなっていくので、通過列車が近くを走ると列車と体が近い印象を受け、高所作業がしづらい現場でしたが、ホーム上で作業ができるようになったので作業効率がとても良くなりました。さらに作業を補助する人員も減らすことができたので省人化にもつながっています。また、海老津駅は西日が当たりやすく季節によって見えにくい状況になるため、車掌からモニターの画角や輝度を調整してほしいといった要望が出ます。こうした要望に応えるため、定期検査や調整作業の際に、昇降式のハウジングによりモニターの上げ下げを簡単にできるので導入して本当に良かったです。
通常時
点検作業時
数年間ご使用いただいた上で操作性についてのご感想
1年目の社員でも何も教えることなく、すぐに専用の昇降棒を使用することでハウジングを上げ下げして、ロックをかけることができます。初めての人でも簡単に操作できるところがとても良いです。専用の棒が無いと動かすことはできないので、いたずらされることもありません。数年間使っていてもサビも出ず快適に使わせていただいており、品質的にも満足しています。
主な導入機器
昇降式モニターハウジング「MY-SW221Tr」 全5式
●特長・保守性に優れ、スリムな形状を実現したIkegami独自の
昇降式モニターハウジングです。
・脚立不要で安全に作業ができます。
・一人での作業が可能なため省力化を実現します。
「MY-SW221Tr」の製品情報はこちら
昇降式モニターハウジングを紹介した動画はこちら
これからの展望
JR九州では、2030年頃を視野に未来鉄道というプロジェクトを推進しています。現在ホームで流れるアナウンス放送は、各駅に制御端末をはじめ様々なメーカーの音響設備やアンプ等で構成されています。これらの設備の大部分を省き、クラウドを活用して一元管理するとともに運行管理システムからのリアルタイムな情報を効果的に活用することで設備のスリム化だけでなくお客さまの利便性向上を目指しています。
また、各社が1対1で製品を売るのではなく、情報開示をしてお互いの強いところを結び合わせることで1つの製品やシステムをつくっていくというソリューション展開もできれば良いと考えています。
Ikegamiへの今後の期待や要望
JR九州では、現場に設備を置かずに極力少ない点数でお客様にサービスを展開していくという展望があります。ケーブルレスという点も大事ですし、設備の点数は限りなく少なくできる製品に期待しています。モニター、ハウジング等たくさんの機器がありますが、1つ1つが災害で流されてしまい、壊れてしまうと危険な上、コストもかかってしまいます。極力コストをかけずに使いやすいサービスを提供できるように、設備を少なくしてスリムに保守がしやすいような環境をIkegamiさんと一緒につくっていければと思います。
今回、JR九州様より実際の現場で使用していただいた上での貴重なご意見、ご感想をうかがうことができました。池上通信機も従来のカメラや昇降式モニターハウジング等の製品だけでなく、AIや無線伝送といった技術でJR九州様の安心・安全な設備づくりにご協力できるよう努めてまいります。
JR九州様のトピックスご紹介
JR九州様では、新アプリが2024年秋に登場し、ネット予約でQRチケットレスサービスが開始されます。
詳しくはJR九州様のホームページをご参照ください。
https://www.jrkyushu.co.jp/
JR九州様に撮影ご協力いただき、池上通信機 公式YouTubeチャンネル「イケイケちゃんねる」にて動画にまとめました。Ikegami製品がJR九州様の施設でどのように活躍しているのか、ぜひこちらもご覧ください。