メディカル

2023.10.13

患者様中心の心温まる医療を提供される東海大学医学部付属八王子病院様

患者様の安全・安心を考え、新たにIPカメラシステムを導入

 

都心から中央自動車道で八王子インターチェンジに近づくと、「東海大学医学部付属八王子病院」と書かれた大きな建物が目に飛び込んできます。八王子市の北東部に位置し車でのアクセスもよい立地に、地域医療を基盤とする大学病院として、2002年に東海大学医学部付属八王子病院様は開設されました。開院当初から電子カルテを導入するなど医療のIT化を実践している先進的な病院でもあり、2017年に東京都がん診療連携拠点病院、2018年には地域医療支援病院、2020年には地域がん診療連携拠点病院に認定されており、地域の中核をなす大学病院の一つです。

レントゲン室の装置を更新される際に、当社のIPカメラシステムをご採用いただきました。導入のきっかけから運用状況などを伺いました。


お話しを伺った 由地 良太郎 様

導入したきっかけ

レントゲン技師は、患者様を撮影台に案内し、撮影の姿勢作りなどの段取りをしたらレントゲン室の外に出てしまいます。レントゲン撮影中は、患者様が一人で中に残ることになるので、患者様の安全には常に気配りをしています。大学病院ではご容体のすぐれない患者様もおり、意識を失ったり転倒したりするリスクがあります。当院のレントゲン室は、並んだ3室と少し離れた救急1室の合計4室ありますが、全てのレントゲン室に対して充分に目を配るのは難しい状況でした。


カメラを設置したレントゲン室

各部屋を俯瞰してみることができるカメラシステムの必要性は常々感じていましたが、レントゲン装置の更新に合わせて設置することができました。レントゲン装置メーカーの方からの紹介で、初めて池上製のIPカメラシステムを導入しました。

3つのレントゲン室が並んだ外側の壁にモニター1台を配置し、画面に分割表示して全ての部屋を毎日みています。救急のレントゲン室前にもモニターを1台配置しているので相互に状況把握ができます。レントゲン室にカメラを取り付けている病院はまだ少ないと思いますが、とても有効だということが使ってみてよくわかりました。

レントゲン室の天井に取り付けられたカメラ
4分割で各レントゲン室をモニター表示

カメラ設置により目が届くようになった現場

医療現場にとって医療安全というのはとても重要です。治療にきて怪我をするようなことがないよう常に気をつけています。ベテランの技師は患者様の入室の様子をみて勘で介助が必要だと判断して対応するスタッフを増やしたりしますが、若手では気づかないこともあります。そのような場面で、他のスタッフがモニターをみていればすぐ対応に行けるのです。3室並んだ奥の部屋は外から一番目が届きにくいので車椅子の患者様の検査には使っていなかったのですが、カメラシステムの導入により目が届くようになりました。救急のレントゲン室はさらに離れておりましたが、モニターを通しスタッフ相互の様子がわかるようになりました。

 映像で記録し、リアルに伝える

検査中に患者様が気を失ったり転倒したりしたらすぐに駆けつけるなど、その場その場の対応はとても重要ですが、医療は続くものなので、次に起きないようにすること、起こさないようにすることが常に求められます。以前よりインシデント・レポートとして記録し、振り返っていますが、患者様が一人で残るレントゲン室の中で起こっていることなので、状況をきちっと捉えて伝わる文章にすることが難しい状況でした。それを映像で記録できるようになったので、よりリアルに伝わるようになり、予防措置も取れるようになってきたと思います。

導入してからさらに気付いたこと

導入する際には、目が届かないレントゲン室をカバーするカメラシステムと思っていましたが、使い始めると記録映像が非常に有効だということに気づきました。患者様自身に起因することなどはなかなか防げないのですが、膝から落ちて転倒したり、頭を打って意識を失ったり、機械にぶつかって怪我をするなど副次的なことを防止するためにスタッフがどう対応するかなどの安全教育に使えるのです。CTやMRIは患者様が横になって検査するので転倒のリスクは下がりますが、レントゲン検査では、膝・腰など日常生活の重力がかかった状態での撮影リクエストが多々あり、立った状態で撮影するのでリスクが高くなります。車椅子で入室される患者様もいますが、「立てます」と普通に答えていても、いざ立ってみたら貧血を起こすこともあります。そのような時の録画データにはブックマークを付けておきます。後で見直して、どのような対処ができたか、こうすればよかったなどと振り返ることができます。ベテランからは、ここで予知ができるので、こうするとよいなどのアドバイスをもらうことができます。

今では時間に余裕ができたタイミングで、今日こんなことがあったとスタッフ同士で映像を見直して話し合ったりしています。若手には、ベテランが転倒防止など患者様の安全に配慮してどのように撮影姿勢を取らせているか、車椅子を直ぐ座れるような位置に調整しているかなどがわかる記録映像を見直してもらっています。これが安全教育の教材にまとめられるといいですね。

課題解決のために

俯瞰してみるカメラを各室1台導入できたのですが、装置に隠れてしまい見えなくなる部分があります。さらにカメラを増設できれば、死角も減りより安全を保つことができるようになります。さらに撮影する前のポジション作りなどベテランがどのように行なっているかなどのコツも映像に捉えられるといいのですが、手元はなかなか映りませんね。レントゲン検査は、撮影する前にどのように撮影姿勢を指導していくかが重要で、レントゲン画像の仕上がりに大きく影響します。若手はベテランに比べて姿勢作りも含めた所用時間が課題となってきます。映像から、ベテランがどのように無駄を省いているかなどを学ぶことができると、習熟も早くなっていきます。以前、危険予知訓練(KYT)を実施した時は、こういう場合はこうすればよいなどの説明を写真でおこなっていましたが、今後は映像で伝えることができます。こういった様子の患者様はこういう危険が出てくるよね。こういう対処をしていても、こういった時にこういうことが起きるよねと映像をみせることで意識を高めることができるようになります。ただし、患者様のプライバシーもあるので院外へ持ち出すことはできません。容易にモザイクをかけたり、顔が映らないようになったりすれば外部での教育にも使うなど、さらに応用が可能となります。

映像からの危険予知に期待

患者様が入室される様子をみて、ベテランは勘が働いてサポートを増やしたりしますが、それを入室映像から危険予知のアラートとしてシステムが発信してくれるといいですね。年齢とか、車椅子に乗っているとか、歩き方とか、そういったところからリスクを測れると思っています。1年目、2年目くらいの若手は、わからないことも多いのですぐにヘルプを求めてくれますが、慣れてくると求め辛くなってきます。「これくらい一人でできないといけない!」などの心理がはたらくのでしょう。成長には必要なことかもしれませんが、患者様の安全が一番大切ですので、ヘルプを求めるよう指導しています。そのときカメラシステムが危険予知をしてアラートを発信してくれると「もうそれくらい一人でできるだろう!」などと言われてしまう心配もなく、ヘルプを求められます。安全のためであれば少し過剰に反応してアラート発信されてもよいと思います。

さらに発展してエスカレーターや待合室での様子から捉えて、危険予知してアラートを発信してくれるとよいですね。エスカレーターで転倒したり、座って待っているうちに急変したりすることはあります。受付周りはスタッフも少なく、なかなか目が届きません。それをカメラシステムが捉えてアラートを発信してくれれば、声掛けをするとか、順番を早めるなどの対処ができるようになり、患者様にもメリットがでてきますね。

吹き抜けで開放的な待合室

各受付の壁に海洋生物マーク、放射線受付はクラゲのマーク


「レントゲン室を俯瞰してみるカメラシステムの事例は、まだそれほど多くはないと思います。医療安全や患者様の様子をみるという元々のニーズでしたが、導入してみると教育にも使える事に気付き、アラートまで発信してくれるとさらに有効なシステムになると思いました」といったお声をいいただきました。池上通信機は、現場で直面しているこのようなニーズに、お客様と共に取り組んでいきます。そして患者様の安全・安心を考え医療を提供されているお客様に寄与することで、すべての人の健康と福祉に貢献していきます。


導入機器構成
  • フルHDミニドーム型ネットワークカメラ
IPD-PT210-A Type Z
  • 16chネットワークレコーダー
INR-1116-16P



 
 

東海大学医学部付属八王子病院


診療技術部放射線技術科
係長 由地 良太郎 様

東海大学医学部付属八王子病院様HP: https://www.hachioji-hosp.tokai.ac.jp/


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