株主の皆さまにおかれましては、日頃より当社事業への多大なるご理解と厚いご支援を賜り、心より御礼申し上げます。
第84期は、中国経済の停滞や中国国内での反腐敗運動の継続に加え、米国の政策動向や地政学的リスク等への懸念から、先行き不透明な状況で推移いたしました。
国内の売上高につきましては、放送システム事業の売上高が前年同期並みに推移したほか、注力事業である産業システム事業(セキュリティー・メディカル・検査装置)の売上高が前年同期を上回りました。特に、セキュリティー事業では、プラント市場や鉄道市場、防衛市場向けの納入が増加し、検査装置事業では、医薬市場(主にジェネリック医薬品市場)向けの販売が好調に推移したほか、新分野への挑戦の成果として、産業市場向けに触媒検査システムを納入するなど、売上拡大に寄与しました。
海外におきましては、北米地域で医療用カメラの販売が増加し、東アジア地域でも放送カメラの大型案件の納入がありました。一方で、中国国内における反腐敗運動の長期化や、米国における政権交代後の政策動向に対する不確実性から、前年同期の売上高を下回る結果となりました。
損益面につきましては、減収に伴う売上総利益の減少等により、前年同期の実績を下回る結果となりました。
今後の見通しにつきましては、当社を取り巻く事業環境において、中国経済の停滞や中国国内の医療業界における反腐敗運動の長期化が続いております。また、国内における物価上昇の継続による個人消費への影響や、米国の通商政策等を背景とした景気の下振れリスク、金融資本市場の変動等にも、引き続き注意が必要な状況です。
このような複雑化と多様化が進む混沌とした事業環境の中、当社は業績の拡大・向上に向けた事業別戦略を確実に実行し、具現化してゆくことで、更なる成長と持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
放送システム事業におきましては、次世代新技術の獲得・活用を通じ、IPをはじめとする高度なトータルシステムソリューションの提案力を強化し、更新需要の確実な取り込みを推進してまいります。また、4Kカメラシステムや、新製品のIPエクステンションユニット「IPX-100」および4K/HDマルチパーパスカメラ「UHL-X40」の販売促進により、シェア拡大を目指してまいります。
産業システム事業におきましては、セキュリティー事業では、防衛省をはじめとする公共性の高い官公庁や鉄道、プラント市場等を最注力領域と位置づけ売上規模を拡大、メディカル事業では、海外を中心とした内視鏡および顕微鏡用カメラの新規OEM顧客の獲得や、新規事業領域へ参入し、検査装置事業では、医薬市場向けの錠剤検査装置や錠剤印刷装置等のシェア拡大に加え、労働人口減少に伴う検査自動化ニーズへの対応を進め、医薬市場以外も含む事業規模の拡大を目指してまいります。
株主の皆さまにおかれましては、引続き絶大なるご理解とご支援を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
2025年6月
池上通信機株式会社
代表取締役社長 清森 洋祐