2018年9月11日Ikegami Engineer Talks - Vol.1

「お客様の夢を形にする企業であり続けたい。」 それが「映像技術のプロ」であり続けるIkegamiの願いだ。 IP&T(Image:撮像、Process:画像処理、Transmission:伝送)にフォーカスして映像技術を探求し続けるIkegamiは、どのようなこだわりを持っているのか。Ikegamiのエンジニアインタビューをご紹介します。


 
初回のテーマは、12月1日に新4K8K衛星放送開始で盛り上がる放送業界で使われている”放送用システムカメラ”について。 普段見えないところで活躍しているIkegamiの技術。どのようなところでIkegamiの技術力が発揮されているのか、放送用カメラの設計を統括する小林が語る。
 

1998年に入社、放送カメラ関係の品質保証・最終検査部門にて、
現場技術者としてお客様から多くを学ぶという経験を経て、
2006年よりカメラ設計・開発部門にて、 様々な製品の設計・開発に従事。
2016年より放送技術部の部長に就任。

【モットー】
・自分が感動できること  ・仲間と共に感動できること  ・お客様を感動させること
 そんな仕事をして行きたいと思い頑張ってます。


放送用システムカメラ

― プロ用のカメラといっても幅広いと思いますが、今日は放送用システムカメラについて教えてください。

 
小林:
放送用システムカメラとはいったいどんなカメラ?と問われると、その業界の方以外のほとんどの方は「???」だと思います。 テレビを見ていて、たまにスタジオの裏方にカメラが向けられたときに映っている少し大きなカメラ?というイメージが大半なのではないでしょうか。

今回は、少し噛み砕いた形で放送用システムカメラの魅力をお伝えできればと思います。



― いきなりですが、ずばり放送用システムカメラの真髄とは?

小林:
放送用プロカメラだから高画質にあるのでは?という想像をされる方もいらっしゃるかもしれません。もちろん放送用カメラとして高画質というところに拘る部分は大きいですが真髄は、敢えて「システムカメラ」と表現されている部分にあります。


― 「システムカメラ」というのは具体的にどのようなカメラのことでしょうか?

小林:
システムカメラを一言で表現すると、「複数台のカメラを使用してコミュニケーションを取りながら”リアルタイム”でチームワークをすることのできるカメラ」です。 街中で1台のカメラと数名のスタッフで街頭インタビューをしている場面を見かけたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、その様な場面で使うカムコーダーと呼ばれるカメラとシステムカメラは、違う性格のカメラです。


チームワークをすることのできるカメラ

― チームワーク、とのことですが具体的にどのような人が関わっているのでしょうか?

小林:
放送用スタジオシステムの運用は、大まかに下記のように分業されています。

・ディレクター  :作品をどのようにまとめるか考えながら指揮を行う。
・カメラマン   :カメラワークを行いアングルを決める。
・ビデオエンジニア:撮影状況に合わせて画質調整を行う。
・スイッチャー  :複数の入力映像から出力映像を選択する。
・音声      :番組の主旨やイメージに合わせて音を選択/調整する。
・照明      :映像に合わせて照明を調整する。


ここで一番のポイントとなるのが”リアルタイム”に様々なことができるようになっているということです。


― ”チームワーク”を組まないといけない環境下で”リアルタイム”、と聞くと、複雑そうなイメージがありますが、 システムカメラ周りでは、どのようなところでリアルタイム性が求められるのでしょうか?

 
小林:
カメラマンはディレクターの指示を音声通信(インターカム)で受け他のカメラ映像(リターン映像)を見ながら次に自分がどのようなアングルで撮影するか決めています。 自分が撮影している映像とリターン映像を素早く手元のスイッチで切り換え比較しながらカメラワークをしています。
 
ビデオエンジニアは、カメラマンが撮影している映像をモニタリングしながら、ディレクターの意図に忠実な画質となるようにコントロールパネルから調整を行います。
 
まさに、各担当がコミュニケーションをとりながら阿吽の呼吸でチームワークを行い作品を作り上げていきます。
 
このような運用を可能にしているところに真髄があるというわけです。


リアルタイムを重視

― では、リアルタイムを重視しているシステムカメラの力が発揮されるのはどのような場面でしょうか?

小林:
特に放送システムカメラの真髄が発揮できる代表例は「ライブ(生放送)」になります。 このことから、放送用システムカメラはライブカメラと呼ばれることもあります。
 
例えば、オリンピック等のスポーツ中継、ニューススタジオ、テレビショッピング、コンサート等の運用が挙げられます。
 
これらの運用は現場の状況に応じて刻一刻と進行が変わりその変化に応じてディレクターはリアルタイムに指示を出しながら作品を作り上げて行く必要があります。
 
 
ライブとなると機動性が重要なため、システムとの連携を考慮されていることや、制作者の意図が反映できるようにバリエーションあるレンズを簡単に交換できる、というのも重要です。 このような現場の運用を実現するためにはまさにシステムカメラが必要になるということです。
 
また、ライブ運用が出来るということは様々なコンテンツを効率的に生み出す事ができることに他なりません。
 
例えば、ドラマ撮影などにおいても、ライブ運用の要素を取り入れマルチアングルにより、撮影回数を減らすことで役者の負荷を軽減し効率的に魅力的な映像を生み出すことに寄与することができます。


― 昨今言われている働き方改革や、制作コスト増加の回避にも繋がりますね。

システムカメラへの想い

― 最後に、システムカメラへの想いを聞かせてください。

 
小林:
ライブ放送から生み出される真実の世界はとても魅力があるのと同時に情報を流す側には失敗は許されないという大変重い責任があります。 そのため放送用システムカメラには高い運用性と信頼性が要求されます。
 
これまで私達は長い年月をかけて、その厳しい要求性能を実現するためお客様に寄り添いながら真摯に技術を積み重ねて来ました。
 
幸いなことに私達のカメラのユーザーは世界中におり、私達の持つ映像と伝送の技術で世界をつなげることができております。これからも世界中の一流のプロに貢献できる一流のプロ集団として時代の変化に応じながら先端を突き進み、世界最高と言われるシステムカメラを生み出して行きたいと考えております。


次回からは、そのシステムカメラならではのこだわりの技術についてご紹介していきます。



Engineer Talks

  • Vol.2 ”こだわりの機構設計”について
  • Vol.3 ”多様な運用に寄り添うソフトウエア”について
  • Vol.4 ”次世代高速ビデオプロセッサエンジン AXII”について
  • Vol.5 ”若手エンジニアの挑戦”について
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